2020年12月04日

西日本ネオアコ紀行Vol.3 「ようこそグラスゴウ食堂へ」

西日本ネオアコ紀行Vol.3

ようこそグラスゴウ食堂へ


地下鉄堺筋本町の3番出口を抜けてL字に行くとほどなくグラスゴウ食堂の看板が見えてくる。

その名の通りフロアにはキラキラとしたネオアコが流れ、壁にはオレンジジュースやベルアンドセバスチャンといったゆかりのレコードがずらり。縦長に広い店の奥、黒板塗料が塗られた壁一面にはチョークでメニューが手書きされている。適度にカジュアルでシック、何気にレトロな空間はまるで友達の家に遊びに来たような感覚。ゆったりと腰を下ろしメニューを眺める至福のひととき。ここでは運ばれてくるお皿の一枚一枚にドラマがあり、感動がある。

浪速のトラットリア、グラスゴウ食堂。完全分業体制でお店を切り盛りする野々村君と三輪君のふたりに、お店の誕生秘話からお勧めのメニューまでを語ってもらった。本稿がすべてのグラスゴウファンにとってのガイドブック的存在となれば嬉しい。


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 野々村(ホール担当)・三輪(キッチン担当)


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やさしく灯るグラスゴウ食堂の看板


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お馴染みの名盤がお出迎え


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カウンター席の向こう側が調理場

         


ノノくんオススメメニューベスト3


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塩メープルのミックスナッツ

\450(税抜)


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カルボナーラ

\1050(税抜)


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ワイン各種

グラス

\600(税抜)



ミワくんオススメメニューベスト3


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いちじくと生ハム クリームチーズ乗せ

\500(税抜)


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シラスと半熟卵のアヒージョ

\600(税抜)


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宮崎県産ポークグリル

\1350(税抜)



グラスゴウ売れ筋メニューベスト3


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蛸とアボカドの和風マリネ

\700(税抜)


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牛すじラグーとマッシュポテトのオーブン焼き

\600(税抜)


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カニクリームコロッケ

\750(税抜)



そもそもふたりはどうやって知り合ったの?


N:ミワ君の彼女(後の奥様)と僕はもともと友達で、ミワ君が京都から名古屋に引っ越してきた時に。共通の友達はたくさんいたしお互いの存在は知ってたんだけど実際に会ったのはその時が初めて。


その時はふたりとも飲食をしていたの?グラスゴウをたちあげるまでの流れが知りたいんだけど。


N:僕は、名古屋の高校出てヤマギワソフトでバイト、飲食で務めるも潰れて日雇い、名古屋で派遣の仕事、そのあと大阪出てきて大阪でまた派遣…


けっこう長いね。グラスゴウ、いつ始まるん(笑)


N:ミワ君にはいつやんの?いつやんの?って言ってたんだけど…


ミワくんは?


M:僕は高校の時からツタヤでバイトしてて、そのあと京都、名古屋、大阪の飲食店を渡り歩くって感じです。


N:ふたりで「お店やろうぜ」ってなったのは27,8の頃。それからオープンするまでに10年間ほどかかってるんですよ。


デビュー遅っそー(笑)


N:先に僕は大阪行って派遣の仕事をしながら彼が来るのを待つんだけど、なかなか来なくて。で、ようやく仕事をやめて大阪に来たと思ったら…。

  

まだ始まらないの?


N:一緒にお店を出すとなるともう一度飲食の店で働いてくれ!って。


さんざん待たせといて(笑)


M:いや、飲食はそんな甘いもんじゃないんで。


確かに。

で、ミワ君が大阪来てからオープンするまではちょくちょく会ってたの?


M:はい、共通の友達もたくさんいたし。イベント行ったらそこで顔合わせるし。


N:参考になる店とかにはよく一緒に行ってました。


M:でもその段階ではまだ具体的にどういう店にするとか どういったメニュー構成でやるのかとかまったく定まってなくて。互いに思いはあったんだけどまだまだ夢の段階で。


N:で、もう年も年だし。僕がしびれを切らしてミワ君にやるの、やらないの、どっち!って詰め寄ったんです。そしたらやるって。仕事もやめるし物件も探すって言ってくれて。それがだいたい2015年とか?


なかなかの最近やん(笑)


N:お店を出したのが2016年なので、その間の1年間くらいは仕事をしながら物件を探したり。当時働いてたお店も従業員が少ないからやめてくれるなって。

  

ノノ君としたら一刻も早く自分の店を出したいとこだよね


N:はい、何のために大阪に出てきたのかを考えたらやっぱり自分の店を出すためなんで。

  

お店のコンセプトっていつ決まったの?


N:僕はDJブースがあってイベントとかができるお洒落な空間にしたかったんだけどミワ君はちがってて。お店をやるならちゃんとご飯もお酒も出せるような。で、最終的にふたりの意見が合わさってこうなりました。音楽好きが集まって食事を楽しみながらわいわい音楽の話とかできるお店。


最高だね。グラスゴウ食堂の名前の由来は?


N:お店を出すときにクラブワンダーに集まってみんなでああでもない、こうでもないと。From Across the Kitchen Tableがいいんじゃないかとか。ネオアコとかギターポップの曲名から色々リストアップしていったんだけどなかなかしっくりくるのがなくて…

実は、名古屋にいた時にブログでレコードの紹介とか自作の料理をアップしてたんですけどその時やってたブログのタイトルが上高畑グラスゴウ食堂。グラスゴウ食堂いいやん!ってなって最後は勢いで。

  

グラスゴーじゃなくて、グラスゴウ。


N:ウの方がーよりも、昭和チックというかレトロな感じがあるなと。


グラスゴーだと検索かけてもガチにスコットランドの店が出てきそう(笑)


N:そう、それはほんと副産物。グラスゴウにしたおかげで検索のトップにグラスゴウ食堂が出てくるんです。


そこまで計算してやったわけじゃなく。


M:マグレです(笑)


N:結果的にはよかったねって感じで。


名前は大事だからね。

お店のおススメメニュー(上記参照)についてだけど、ノノ君がワイン推してるね。


N:はい、常連のお客さんですごくワインに詳しい人がいて。好みを聞いて週に1,2回入れ替えてます。勉強するうちにだんだん面白くなってきて。


ふたりで来たら絶対にボトルで頼んだほうがオトク。

白か赤かを伝えて、あとはノノ君に任せておけばまちがいない(笑)

ワインを飲むお客さんってけっこういるの?


N:お客さんにワインの説明をしてたらそれを聞いてた別のテーブルの方にも興味を持ってもらって。おかげさまで最近はワインを嗜まれるお客さんが増えてきました。


それから特筆すべきはミワ君ご推奨の宮崎県産ポークグリル!

こないだ初めて食べてあまりの美味しさに言葉を失った(笑)


M:ありがとうございます。


N:グリルはもともとミワ君がやりたかった料理。

でも焼くたびに店内がスモークでいっぱいになって。


M:わざわざそれ用の扇風機を買いました。


N:備え付けの換気扇じゃ全然追いつかないんで、これで外まで煙をとばす!


すぐにブルーベリーに連絡して、中村さんにグラスゴウからすごいのが出ましたって(笑)


M:ほんとうれしいです。


じゃ続いて音楽の話を。ふたりが好きなミュージシャンについて聞かせて。


M:ティーンエイジ・ファンクラブ。


そこはふたりとも共通してるんだ。一番好きなアルバムは?


M:僕はグランプリです。


グランプリいいよね。アルバム出た時のツアーをフォーラムで観たけどめちゃめちゃカッコよかった


M:クリエーションが一番勢いあった頃ですしね。


N:当時はまだ聴いてなかったんで、その辺の話にはついていけない。ウィーザーもそうだけど2005年のサマソニで初めてライブ観てそっからファンになったんでだいぶ遅咲き。


ノノ君のTFCのベストは?


N:僕はソングス・フローム・ノーザンブリテン。たぶん思い出補正とかあると思うんですけど、初めて聴いたのがそれなんで。


それもいいアルバムだよ。こたつでみかん食べながらしみじみ聴きたい。


M:他にはポール・ウェラーが好きです。


ポール・ウェラーはどの時代の?


M:いちばんよく聴いたのはスタイル・カウンシルのアワ・フェイバリット・ショップかな。ソロになってからはヘヴィー・ソウルをよく聴いてました。


ミワ君はもともと洋楽志向だったの?


M:いえ、中学の時に渋谷系全盛で。小沢くんとかピチカート、その流れで洋楽を聴くようになりました。今でもフリッパーズ・ギターは大好きですね。ジャンル的には何でも聴きます。ソウルとかも聴くし。


ノノ君は?


N:ウィーザーにエッグストーン。


ウィーザーで一番好きなアルバムは?


N:いっぱいアルバム出してるんですけどやっぱり1stが一番好きかな。怒られそうだけど。


バディーホリーのやつだよね。

僕エッグストンはライブ観たよ。


N:えっ観たんですか?


ちょうどロンドンにいた時。誰かの対バンだったと思うんだけど、小さなライブハウスが閑散としてて…日本との温度差を感じたのを覚えてる。


N:日本の盛り上がりとは全然ちがうんですね。


日本のミュージシャンでは?


N:日本だとアドバンテージ・ルーシー。一目ぼれでした。CD屋さんでバイトしてた時にたまたまルーシーのPVが流れて。グッバイって曲なんですけど、えっ!何この曲って。衝撃でした。その日に自分の店でCD買って帰りました。そしたら他の曲もすごく良くて。


会ったことは?


N:実は、あるんです。イベントに来てくれて。


すごい、ノノ君がよんだの?


N:いや偶然。働いてたCD屋さんが入ってた栄のナディアパークの中にアトリウムってイベントスペースがあってそこのインストアライブみたいなイベント。楽屋行ってサインもらってめちゃめちゃファンアピールしてきました!


いい話だね。


N:その後もルーシーのインターネットラジオをチェックしてそれ経由でエッグストンとかアイヴィー(ファウンテンズ・オブ・ウェイン)、あとスミスも聴くようになりました。



そしたら次は音楽以外の趣味の話とか聞かせて。


N:実は…


M:趣味とかほんとないんです。


お店が休みの日は?


M:子供と遊ぶくらいしか…まだ小さいんで。


ミワ君の学生時代はどんなだったの?


M:ほんと平々凡々ですよ。中学はバレー部で、高校は帰宅部。その頃からしだいにサブカルに傾倒していく感じです。


映画とか。


M:映画音楽とかですね。


「黄金の七人」とか「セソマット」とか?


M:そうそう(笑)、フリッパーズや!って。


ノノ君は?今はお子さんが生まれたばかりだけど…


N: 子供が生まれる前は休みの日に奥さんとよくお出かけしてました。ドライブもだけど自転車で行けるとことか。市内でも舞洲(まいしま)とか景色のいいとこがあるんですよ。海沿いの町に行ってそこら辺ぶらぶらして適当なお店でご飯食べて。いい景色やなぁって。


いいね。


じゃ最後にこれまでのグラスゴウの歴史を振り返って。色々イベントとかあったと思うけどふたりが印象に残ってるのを教えて。


M:飲食始めてからずっとやりたかったことなんだけど…ニック・ヘイワードのアルバムのイングリッシュ・ブレックファストの再現。グラスゴウで初めて80sイベントをした時のフライヤーがこれ。

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おー、完コピだ!すごいね。本人見たら喜びそう。


M:本人にも見せましたよ。前にビルボードにライブ観に行った時に。サインもらって、その時に写メ見せたらすごく喜んでくれました。


でも80sのイベントだよね。このアルバムが出たのって…


M:そう、DJのハルハルさんからも全然80sちゃうやん!ってつっこまれました。


N:言われてたね。


ノノ君の記憶に残るイベントは?


N:イベントって、思い返してみるといいことしかなかったんですけど…でもなにかあげるとしたらやっぱりデボネアとアリエッツのライブかな。初めて自分で企画から出演交渉までしたイベントでもあるし。


今にして思えばすごい組み合わせだね(笑)


N:デボネアの対バンを探すにあたって全体の雰囲気は壊さずになおかつ年代の違う人たちがいいなと思って。もともとNanaちゃんのやってたTwinkle Twinklesが好きだったので彼女にオファーしたら、ちょうど新しいバンドを結成したらしく。そしたらギターがカンフーガールのMilkちゃん!


僕、カンフーもめちゃめちゃ好きなんです!一番オレトクなイベントになりました(笑)

  

それにしても、ものすごい入りだったよね。


N:グラスゴウ史上最高の集客でした。それに最大の音量。これは絶対に近所から苦情がくるなと思って電話線抜いてました。ライブ中に鳴っても困りますし。


ノノ君もなかなか大胆だね。

アリエッツって当日まで全然知らなくてライブが始まってもショージさんとか西村君(café sunny side love!)と外で飲んでて。店の中パンパンだったし。そしたら彼女たちの演奏が中から聴こえてきて。

外のおじさん連みんな大絶賛!レインコーツやーとか。演奏もそうだけど彼女たちのほんわかした感じが最高だった。


N:気に入ってもらえてうれしいです。ほんといいイベントでした。やってよかったです。




グラスゴウ食堂の歴史


20163月  

オープン(DIYで店作り)


友人知人に助けてもらいプレオープンでインスタ拡散、初年度は友人知人そのまた知り合いの人たちが多数来訪してくれる。近所の人たちも噂を聞きつけ徐々に常連に。


20179

新井仁、溝渕ケンイチロウLIVE


20179

80年代イベント開始(以後毎年)


201712

ブラッドクイン(ベオウルフアンブレラ)LIVE


20198

デボネア、アリエッツLIVE


201910

バケーション3、ケントフナヤマ、アコースティックスLIVE


僕がグラスゴウへ行く理由


予約して行く時はいつもカウンター2席を用意してもらっている。そこから眺める景色が好きなのだ。カウンターの向こうは厨房でそこにはミワくんの姿が見える。普段の爽やかな笑顔とは一転、ストイックな面持ちで料理と格闘している。動きに一切の無駄がない。

複数仕掛けられたキッチンタイマー、特大サイズのワインビネガー、色鮮やかなサラダの盛り合わせ。

そうした光景のひとつひとつに目を奪われ愛おしさを感じてしまう。

さながらお気に入りのポストカードや7インチのジャケットといったところか。


一見のお客さんに対しても絶妙なタイミングで声をかけたり、さりげなく気を使ったりとノノ君は

とにかくやさしい。「僕の青春は学校出てから始まるんです。本格的に音楽を聴きだしてたくさんレコードやCDを買って。いろんなイベントに顔を出したりいろんなお店に行っていろんな人と知り合って。そこで見たり聞いたり感じたり口にしたものすべてが今のグラスゴウの礎になってると思います。」


僕がグラスゴウ食堂に惹かれる理由はそういったところにあるのかもしれない。


Chelsea Girls 広瀬 陽一






posted by blue-very at 18:00| 西日本ネオアコ紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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