2020年08月28日

西日本ネオアコ紀行 vol.2 子猫をお願い


The Harriets (アリエッツ)インタビュー

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西日本インディーギターシーンにひょっこり現れたガールズバンドThe Harriets。そのゆるふわ系キャラと玄人受けするアレンジセンスで、 オーディエンスのハートをがっちりキャッチ。行く先々でアリエッツ旋風を巻き起こします。


気がつけばシーンの真ん中にまぎれこんでた三匹の子猫ちゃん、彼女たちのこれまで そしてこれからについてガールズトークさながらに話してもらいました。
やっぱりアリエッツは最高!


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左から


ドラム&ボーカル担当nana  獅子座のO型 好きなタイプは音楽の趣味が合うメガネ男子


ギター&ボーカル担当milk 乙女座のA型 好きなタイプは面白くて可愛い人


ベース&コーラス担当fumi  水瓶座のA型 好きなタイプは一緒にいて楽しい人


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じゃ、まずは結成のいきさつから。3人はもともと友達だったの?


N:わたしとフミちゃんは10年位前から友達で。


F:それぞれ別のバンドをやってて対バンで知り合ったんです。


M:わたしはKUNG-FU GIRLでライブした時に。

   その神戸のイベントにナナさんも来てて。

   同じ大阪だし同じようなバンドが好きってことで連絡先を聞いて仲良くなりました。


N:それが3年くらい前かな。



アリエッツはどのタイミングで結成されたの?


N:ミルクちゃんはKUNG-FU GIRL のメンバーって知ってたし

  わたしもTwinkle Twinkleでバンドやってたんだけど他で何かできないかなと。

  年も近いし音楽の趣味も同じなんで一緒にバンドやりたいなぁと。

  

  よかったら一緒にやらへん?って。わたしがナンパしました(笑)


じゃナナさんが発起人なんだ。


N:ミルクちゃんがギター&ボーカルで、わたしドラムやりたいなぁと。

  で、あとのメンバーどうしよう?ってなった時にTwinkleで一緒にやってたフミちゃん!

  めっちゃ音楽の趣味合うやんってことで。


それで3人でスタジオに入ると。


N:はじめてスタジオに入ったのは2年ほど前ですね。


当時はまだ持ち歌ないし、カバーだよね?


MCourtneysVivian Girlsのカバー。



そしたらバンド名の由来を教えて。


F:わたしたちがよく行ってるDJのイベントがあって。


N:めっちゃインディーに詳しい原田さんって人がいるんですけど

   その人のおすすめで。


M:あっこれです!


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N:ある人がTwitterHarrietsってフランス語読みなんですねーってつっこんでくれて。

   あっそうなんや!って(笑)



デビュー公演はノノ君とこ(グラスゴウ食堂)でやったのが初めて?


M:野々村さんのイベントに出るから急いでバンド名決めなあかん!ってなって(笑)


あのイベントでデボネアと共演したんだよね。


F:デボネアの演奏、すごくキラキラしてた。


N:あの日のライブ良かったよね。


M:わたしたち知らなかったんですけどKUNG-FUのメンバーに話したら

   デボネアってヤバない?めっちゃすごいやん!って言われました。


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そしたら次はひとりずつ、影響を受けたアーティストについて聞かせて。


M:いちばんは、Tiger TrapGO SAILORですね。


子供の頃はどんなの聞いてたの?


M:小学生の頃にスピッツ聴いて、中学でギター始めるきっかけになりました。


アコギはじまりなんだ。


M:はい、アコギです。弾き語りの本買ってひとりで練習してました。

  コード弾きだったし、そんなに苦労した記憶はないですね。



フミさんは?


F:わたしは音楽聞き始めたきっかけはCardigans。高校生の時の友達にベルセバとかVaselinesを教えて

  もらって。


M:美しいね(笑)


日本だと?


F:やっぱりスピッツとか。


スピッツ人気あるなぁ。

楽器は最初からベースだったの?


F:はい。大学の時にさっきのベルセバの友達にバンドやるからって誘われて。


ナナさんは?


N:わたしも小学生の時はスピッツですね。


スピッツほんとすごいね!


M3人でこないだライブ行きました。オタクはわたしですけど。


N:みんなミルクちゃんの影響でオタクになりつつあります(笑)

     わたしは洋楽聴くのけっこう遅くて、90年代はくるりとかナンバーガール。


楽器始めたのはギターがいちばん最初?


N:中学までピアノやってました。でも向いてなくて。

     家の近所にバンドやってるお姉ちゃんがいて、高校の時に一緒にエレキギター買いに行きました。


何買ったの?


N:フェルナンデスの初心者用の安いやつ。オレンジ色の。


M:それ、わたしも(笑)


N:軽音部でギター弾いてました。ガールズバンド組んで文化祭に向けて練習みたいな。

     放課後、みんなで楽器屋さんにスコア探しに行って弾ける曲を探すって感じで。

     スーパーカーとか、あと時代があれなんですけどプリプリのMとかカバーしました(笑)


昭和感が


N:はい、今でもプリプリとかいいと思いますよ。ガールズバンドの先駆けですよね。

     高校出たあとに組んだのも4人組のガールズバンド。ネットでメンバー見つけて。パンクな感じのです。

     その時のメンバーが洋楽よく聴いてて、彼女たちの影響が大きいかな。


     その後、22の時にイギリスに留学して もうそこからは洋楽しか聴かなくなりましたね。


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じゃあTwinkle Twinkleは、イギリスから帰ってきてからのバンド?


N:はい。

   その頃フミちゃんは、ICE CREAM SHOUTってバンドをやってて

   普通 対バンとかで仲良くならないんだけど、めっちゃ仲良しになって。


ほんと仲良さそうだよね。3人とも。


N:はい、めっちゃ仲いいです!


M:なんか ヤバいくらいに遊んでる時あったよね。

    週何回会ってるの?みたいな(笑)


3人とも似たようなタイプなの?


F:ふたりは音楽の好みがピッタリ合ってて、わたしはちょっとだけ違うかもしれない。


N:そうかな?


M3人ともすごいサバサバしてる。


N:みんなテンポが似てて。

   名古屋とか東京にツアー行った時も、誰も時間とか確認せーへんから(笑)

   乗り遅れそうになったり。


F:確認してなーい!


M:チェックアウトも毎回だいぶ遅れる(笑)


M:別のバンドでは仕切ってくれる人がいるから いつもわたしはついて行くだけで

   でもこのバンドは全員がそうで(笑)


N:今はみんなで頑張ろうって感じです(笑)


M:ちょっとずつ分かってきたよね。

    計画的にいかなあかんって。


なんかみんな子供の頃からの友達みたい。


M:そうですね。


F:古くから知ってるような。

  ミルクちゃんとはまだそんなに知り合って2,3年?


M:ほんと信じられへんくらいに遊んでたから。


N:週3くらいで会ってたかな。


ほんと小学生だね。


M:そう。バイバイ、また2日後!みたいな(笑)


N:音楽イベントとかも音楽の趣味一緒だから。


M:行く?って訊いたら、みんな行くーって。


N:誘ってくれるのみんなハズレないし、バンドの練習もあるしで ほんとしょっちゅう会っていました。


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じゃあ、次は音楽以外の趣味について聞かせて。


M:映画観るとか、


特に好きなのは?


M:わたしミーハーなんですよ。『アメリ』と『レディ・バード』と『バッファロー’66』と

    『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』と『素晴らしき哉、人生!』


だいたい休みの日は映画観てることが多いの?


M:そうですね。あとお菓子作ったり。


パティシエ?


M:はい、パティシエです(笑)


N:ミルクちゃん、めっちゃ料理うまいんです。

    技術がすごい、レベルが違う。


M:いやいやいや。本格的じゃないけど好きなんで。作ってみんなに持って行ったりします。


女子力高い!


M:お菓子作りに関してはお菓子作っていると無になれますよね。

    まぜてたら気持ちがリセットされる気がします。



フミさんは?


F:わたしは映画と洋裁。


やっぱり映画みんな好きなんだね。


F:被るんですけど 私も『アメリ』が好き。

  あとは『勝手にしやがれ』と『パディントン』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

    パディントンとガーディアンズはどっちも2がお勧めです。



洋裁は昔から得意だったの?


F:全然得意とかじゃないですけどなんか物作ったり、手作業が好きなのでたまに。


今日の衣装も自作なんだよね


M:すごーい!パチパチ



はい、 次ナナさん。


N:わたしはマンガがすごく好きで。

   マンガ読んでる時がいちばん幸せです!


お気に入りのマンガは?


N:いちばん好きなのは岡崎京子。全部持ってます。

   何回も、もうセリフ覚えるくらいめっちゃ読んでます。


岡崎作品では何がいちばん好きなの?


N:いちばんは『東京ガールズブラボー』初期のやつです。

   後期の暗い感じのより前期のポップでスカスカした感じの作品が好きなんです。

   岡崎京子の影響で80年代の音楽とかテクノポップとか聴くようになりました。

   あとは『PINK』って作品も好き。


映画は?


N:映画も観るんですけどドラマが好きでアメリカとかイギリスのドラマけっこう観ています。

   今観てるのは『glee / グリー』 ベタやけど、グリーめっちゃ面白い。今さらグリー観てる。


F:わたしも今さら『フレンズ』観てる。


N:あっ『フレンズ』めっちゃ面白いよな!


M:『フレンズ』めっちゃ観た。5周くらい(笑)


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曲作りの役割分担について。今は誰が曲書いて、詞書いてとか決まってるの?


F:ふたりがそれぞれ曲も歌詞も書いてきて。


N:スタジオ行って「こんなん作った」って合わせる感じで。


M:歌詞はあとで考えることもあるし、曲といっしょに出てくることもあるし。


N:わたしは鼻歌で携帯とかにストックしておいて、

   それに歌詞のせることが多いです。

   ミルクちゃんは?


M:わたしも基本はコードとメロ作っておいて、ライブが近づいてきたらあわてて歌詞つけるみたいな(笑)


N:全員が歌って全員が曲書くバンドが理想で。最近はフミちゃんも曲書いてくれて。

   めっちゃいい曲!


曲はすぐにできるの?


N:できる時とできない時があります。

   なんか自転車乗ってたらできることがある(笑)


M:そんなん、わたし絶対でけへん!


N:自転車作曲法。最近チャリで通勤してないからやってないけど

   自転車乗ってたら急にメロが浮かんできて乗りながらケータイに録ってる。

   で、あとで聞いてみたらゴーッて音だけで(笑)


M:風(笑)



分業した曲はないの?


N:あったやん!最初の頃のスミス。


スミス?


N:あっThe Smithsっぽい曲があるんです。

   under the moonlightって曲。

     もともとわたしがコードだけ作って持っていって。

   あんなアレンジはわたしには考えられなかったんで、完成度が上がってうれしかった!


M:あれは分業ちゃうよ。わたしが歌ってるってだけで。だいたい曲を作った本人が歌うんですけど

   あの曲は歌いながらのドラムが難しいからわたしが歌ってる。


N:わたしの頭の中でこんな感じにしたいなって思ったのが、バンドでちゃんとした形になる。

   それってバンドの醍醐味ですよね。


曲のアレンジは各パート自己責任って感じなの?


N:そうですね。これだけ音楽の趣味が合うと だいたい何考えてるか分かるし。


それにしてもスミスって曲 興味深いなぁ。


F:ライブでやってますよ。


M:曲自体はスミスちゃうけどアレンジが


N:なんかスミスっぽいていう。



F:作った時にそう思ったよね。


M:一部分かな?アルペジオ弾いてるから。


アルペジオ弾いたらスミス(笑)


M:わからんけど、あの時はスミスって思ったよな。



アリエッツの曲ってベースすごく動くよね。そこはこだわりなの?


F:最初Twinkle Twinkleのサポートメンバーでベース弾いてたんですけど。

   その時のベースがすごく動く感じで。


N:元がね。ギターふわ〜でベースでメロ弾くみたいなバンドだったんで。


F:それを学んで。


N:学んでというか そのなごりが(笑)


F:ナナちゃんが作ったのもあるし、自分で作ったベースラインもけっこう動くようになりました。


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それじゃ、最後に無人島に持っていく1枚を教えて。


M:はい、これです。


おー、Vaselines


M:はい、全曲いいです!


もちろんリアルタイムじゃないよね。

どういった経緯でこれにたどり着いたの?


4つ上のお兄ちゃんがいて この辺の音楽がすごく詳しくて。


お兄ちゃんがいるんだ。それは強みだね。


M:お兄ちゃんが音源をデータでたくさんくれて、それで洋楽を聴くようになりました。

   このアルバムはチープで可愛くて、無人島でも元気出るかなと思って。


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フミさんは?


F:ちょっとバンドのイメージと違うんですけど


何?


F: Strokes Is This It ? ってアルバム。


1枚目だよね?Strokesが好きなんだ。


F:そうなんです。大学生の頃からずっと聴いています。


いちばん好きな曲は?


F:えー全部好きなんで


N:次の曲わかるってやつやな!



ナナさんはどう?


N:わたしは、All Girl Summer Fun Band2ってアルバムです。

   アメリカのポートランドってところの女の子4人でやってるバンドですね。

   インディーポップって感じです。メロディーはめっちゃキャッチーで。


いきさつは?


N:昔、ネットでバンド募集したときに知り合った人で、結局バンドはやらなかったんですけど。

     めちゃめちゃ音楽詳しい人でその人から教えてもらったバンドのひとつです。

     Primitivesもたぶんその人から教えてもらって。


All Girl Summer Fun Bandね。また聴いてみます。


F:語順まちがいそう(笑)


M:いっつもどっちやっけ?ってなる(笑)


The Harriets バイオグラフィー


2019.08.03  グラスゴウ食堂   デボネアと共演   


2019.10.06  CLUB METRO       ELECTRIC FUZZ !!


2019.12.07  調布Cross          Suburban Home


2019.12.22  covent garden      I Fell In Love Last Night vol.1


2020.02.01  K,D.JAPON       デボネア , h-shallows と共演


2020.02.02 record shop andy    インストアライブ the caraway , Belinda may と共演


2020.08.09  SOCORE FACTORY  NEIGHBORHOOD vol.34


2020.08.31    eeny, meeny, miny, moe zine 発売


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Mind the Gap !


ファズのかかったギターにジャングリーで粗削りなリズム隊、53rd & 3rd 直系の適度に大雑把な演奏はさながら和製TALULAH GOSHといったところか。疾走感と躍動感とキュートな歌声。

だけどHarriets 最大の魅力は、音楽とメンバーの間の絶妙なギャップにある。

nanamilkfumi 3人のキャラが際立っており、そのバランスも絶妙だ。

決して計算によって導き出されたものではない彼女たちのナチュラルな立ち振る舞いは、周りを温かな空気で包み込む。


今回のインタビューでもしばしば垣間見ることができたが、そばにいて微笑ましく思えるほどに彼女たちは仲がいい。

映画やドラマのワンシーンのようにテンポよく話が弾む。

しばしば脱線してはまた元に戻り、複数のストーリーが錯綜しながらどんどん進んでいく。

そしていつの間にかきれいにまとまって、後には陽だまりのようなやさしさが残る。


寝っころがってぼんやりと雲を眺めたり、時には仲間のために無心で戦ったり。

もしも女の子に生まれ変わったら

その時はHarrietsのようなバンドを組みたいと思う。


                          インタビュー原稿Chelsea Girls 広瀬陽一

                                            撮影    稲葉智香子

posted by blue-very at 18:00| 西日本ネオアコ紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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