2019年12月11日

西日本ネオアコ紀行 Vol.1『ガープの世界』

大阪のインディーロックバンド、ガープ。女性ボーカリスト松本めぐみの存在がひときわ目をひく90年代初頭に活動していたグループだ。

自身の英国留学期間と重なったこともあり、僕はこのバンドの存在を最近になるまで知らなかった。完全な後追いである。


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今のん 、ガープのめぐみちゃんやで。

えっ 広瀬君、ガープ知らんの!?


大阪上六のマイルハイクラブにて偶然 居合わせた小柄でキュートな女性。


ガープ、カッコいいで〜。

店主の中井(デボネアのボーカリスト)が言うのなら間違いないだろう。

うわっ、めっちゃ聴きたい。

JR宝塚線の最終、早速スマホを取り出して検索をかける。

ガープ バンド 大阪


だめだ、ヒットしない…



後日 友人(bluevery中村)よりバンドのスキャン画像が届く。

1993年、ポルスプエストから出たオムニバスBirth of the true Uからの1枚だ。

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白黒のアーティスト写真。

メロディーを持たないむき出しの歌詞に目を通す。



Mystery Golden Town



圧倒的な勢いで目前へと押し寄せてきたのは、超現実主義的なイメージとデカダンス。

カミュやコクトー、ランボウに代表される仏文学からの色濃い影響を感じずにはいられない。



夏休み、学校の図書室で手にした一冊の文庫本。

思いがけず雷に打たれたひとりの少女は、その衝撃をアクションペインティングさながらの勢いで原稿用紙に書きなぐる。

荒々しくて大雑把、直線的で輪郭のはっきりとした松本の書く詞は、どこまでもピュアでプリミティブだ。

例えるならジャクソン・ポロックの5番。

まさに初期衝動の産物である。


僕のガープに対する興味は、加速度的に増していく。

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歌詞から想起した頭の中のビジョン。それは後に届いたガープの音源にピタリとあてはまる。

退廃的でサイケデリック、無国籍でありながらも根底にそこはかとないジャポニズムを感じずにはいられない。

曲ごとにめまぐるしく変わる音の質感。

ディックの空想科学小説、都はるみ、サボテンブラザーズ、次々とシフトしていく記号。

そこに意味を求めてはいけないのだろう。



前述のオムニバスの他、彼らは1994年大阪のギューンカセットレーベルより4曲入りセルフタイトル Garp をリリースしている。


特筆すべきは、音楽誌 「米国音楽」の付録CDに提供した楽曲 A Piece Of Star 。

この曲は埋もれたままにしておくにはあまりに惜しいキュアー系疾走ナンバー。

ぜひとも押し入れを発掘してでも見つけだして聴いていただきたい

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2019年12月19日、実に四半世紀ぶりにガープの新作が発表される。


新曲2曲と過去のリマスター音源1曲で構成されたこのChapter1は、彼らの古巣であるギューンカセットよりCDとしてリリース。

詳しくは同CD封入のライナーノーツをご覧いただくとして、今作にもガープの耽美でミステリアスな息吹が存分に封じ込まれている。

あの日マーブル柄の羊が見た灰色の空。

新しいガープの世界の扉が今 静かに開かれようとしている。



Chelsea Girls 広瀬 陽一



posted by blue-very at 18:10| 西日本ネオアコ紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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