2019年04月20日

『ペニーアーケードにうってつけの日』〜佐鳥葉子の魅力について

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本稿は過去2回に渡る佐鳥女史との会見の一部をブログ向けに改編したものである。読み返してみると肝心の音楽の話が極めて希薄であることに驚く。しかしながら佐鳥葉子の知られざる一側面を垣間見るという点においては なかなか興味深いものに仕上がったのではないだろうか。


ありのままをストレートに記述するつもりではいるが、実際の佐鳥さんはこんな風には話さないし、書き手側の勝手なイメージが先行していることをまずは断っておきたい。それでもなお僕を掻き立てて止まないのは、こうして活字にすることで彼女の持つ魅力、独自の空気感が目前に蘇ってくるからだ。これはいちファンとしてなんとも嬉しく特別な感覚で、僕自身にとって非常に大きな意味を持つ。

20171019東京

インタビューと称して渋谷で待ち合わせをするも あいにくの空模様。

急遽、場所を恵比寿に変更。ここだと雨に濡れずに行ける。


宿泊先のホテルで荷を解いて急いで支度をする。別件で持参していたパスポートや印鑑を机の一箇所にまとめる。池袋の駅まで来た道を戻る。相変わらず雨が降り続いている。


西口改札の向こうに佐鳥さんの姿を発見、小さく手を振る。薄手のコートの下には、バーガンディのカーディガン。駅に隣接したイタリアンバールを店内奥までツカツカと進んで行く佐鳥さん。やっぱり雨だからかな、こんなに混んでるのは初めて。ここはやめてガーデンプレイスにしましょう。ちょっと歩くけどいい? いや、僕は何処でも大丈夫です。

並行して歩きながら北海道でコーネリアスを観た感想を聞く。実は、ツアーに合わせて休暇取ってね。旅行を兼ねて行ったんだけど、ライブ最高だったよ、絶対に観るべきね。

梅田のウォーターフロントにも似た瀟洒なビルの一角のお店。空間が広く取られた店内。さすがにここまで来ると人いないわね。ここのタルトは絶品なの。アプリコットにマロン。そのどれもが現代美術作品のように厳かに陳列されている。僕はパインですね。

ゴッホの絵に出てきそうな丸いテーブルと椅子。先ほどのタルトとコーヒーが運ばれてくる。

何から切り出すべきかと考えていると、鞄から1冊の冊子を取り出して僕へと差し出す佐鳥さん。これ知ってる?

知らないです。SOMETHING ON MY MIND…渋谷系特集?

中身を確認する。全頁フルカラーで、いわゆる代表的な名盤が紹介されている。フィリップスの特集が数ページに渡って組まれていた。


私、渋谷系に関しては 否定的だったんだけど この本はちゃんと書かれてるんじゃないかな。渋谷のタワーのパイドパイパーに置いてあるから良かったら。

若い世代の人に向けてのガイド本、目新しさがないぶん入門書としては非常に優れているのだろう。けどデボネアが載ってないなぁ(笑)


佐鳥さんって生まれは横浜なんですか?

いいえ、東京生まれ。高校時代が横浜で小学校の頃は親の仕事の都合でアメリカにいたの。だから小学校高学年レベルの漢字が苦手なの(笑)


時系列を無視して思いつくままに質問を投げかける。


たしかロンドンいた時にウェディングプレゼンツひとりで観に行ったんですよね?

うん、友達も誘ったんだけど、断られて。仕方なしにひとりで行ったら周りみんな革ジャンの男だらけで。(笑)


僕のいちばんの関心事、京都のイベントについて聞く。


あのらっくパーティーは、2回やってるでしょ。私たちが出たのは1回目だけ。その時はロリポップとペニーアーケードとデボネア。デボネアはまだ緑のカセットが出る前だったと思う。

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(写真はイメージ)

宿泊先は関西ホテルで、ライブが終わってから大阪まで移動。東京からは、みんな青春18切符で 私だけが新幹線。もう社会人だったから、前の晩からの移動だと会社休めなくて。

初めて見るデボネアのメンバーはとっつきにくかった。モヒカンだし。女の子にちょっかいかけるタイプ?だけど演奏始まったら おーってなって。衝撃だった。話とか全然しなかったんけど。あの時代にあの年齢でラブのカバーとかすごいじゃない!


こないだのQUEではニューオーダーしかやってないけどカバーだけでライブできるほどレパートリーがあるみたいですよ。1本まるまるファウンテンズのカバー特集とか。

本人達よりも演奏力あるしね。(笑)

そう、マイケル・ヘッド自身もライブでやってない曲をカバーしたりとか。そのあたりはショージさんのこだわりみたいです。

こないだ卒アルから家族写真まで昔の写真を取り込んでたんです。資料として。

あぁ見えてショージさん、中学の時、吹奏楽部でトロンボーン吹いてたんですよ。


信じられない(笑)

もっとすごいのは、NHKのコンテストで入賞したり、まぁとにかくすごい人です。色んな意味で(笑)

私も中学の時は吹奏楽部でフルート吹いてました。

おー、吹奏楽部ってショージさんと同じですね。 

私はNHK出てないけどね(笑)

2月にあったペニーアーケード再結成ライブのファイナル。まさかショーちゃんが出てくれるとは思ってなくて。キリキリヴィラの与田さんが、今デボネアの再発プロジェクトで連絡取れるからきいてみるって。そしたらまさかのオリジナルメンバーそろい踏みでしょ。デボネアが出るならってことで小山田君も出てくれることになって。それならブリッジも出るって。

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そうそう、直前までショージさんもケンさんもブリッジのこと知らなかったんですよ。

えっ、ブリッジって女なん!てびっくりしてました(笑)


それくらいが丁度いいんじゃない?(笑)




ルーフの一枚目(out of the blue)って、曲はほとんどバチェラーズ時代のものなの。実は私もコーラスで参加してるんだけど。中音域担当。女の声ってわからないと思う。(笑)


eb君と石田君が高校時代からつながってて。ペニーアーケードを立ち上げた時には、まずはバチェラーズを目指そうってのがあったの。


ペニーのレコーディングは、ほんと一発録り。

3時間で3曲とか。後がないから緊張感が生まれるしね。あれはあれでよかったと思う。 


帰り道 佐鳥さんご推奨のパン屋さんに立ち寄る。

恵比寿に来たらいつもここで買って帰るの。

ものすごく硬いパン。ちょっと高いけど 風味があっておいしいの。


僕もバケットサンドを購入する。ホテルに戻ったら食べますね。


硬さ、食感、素朴な味わい

おおげさに聞こえるかもしれないが一口でそのパンは僕を94年のロンドンへと導いた。

あれは確かエブリィマンシネマ。映画館への道すがらいつも買っていた硬いバケット。水とセットで劇場に持ち込みゴダールやマルやブニュエルを観ながら口にする。

美味しいものは名曲や名画と同じ。人の記憶に刷り込まれては事あるごとに蘇る。そう 楽しかった思い出とともに。

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20181125大阪

佐鳥さんとは谷町九丁目の改札前で待ち合わせ。その後デボネアのメンバーと合流して空掘商店街へと向かう。芸能人御用達の名店を通り過ぎ、我々が向かった先は老夫婦がひっそりと営む元祖大阪のお好み焼き


流行りのふわとろとは対極の地味で素朴な食感。昭和の子供たちが日常的に食卓で味わっていたその味だ。紅一点 佐鳥さんとコテコテの大衆食堂。絵面がなんとも絶妙。

鉄板には豚玉、焼きそば。
京都あのらっくパーティー、Queでの再結成ライブ、ルーフというかバチェラーズ ebさんの話、来年の予定など、60秒間隔で笑いをはさみつつ話がつきない。佐鳥さんもショージさんも30年前とは比較にならないくらいによくしゃべる。

マイルハイでは、David Jやトーキング・ヘッズをはじめ ニューウェーブ色濃いめの選曲だったんだけど、普段聴けない音源を ということで急遽、80年代のデボネアがかかる。

他に客おらんしいいやろ。

久しぶりに聴いた初期のライブ音源、演奏に勢いがあってカッコいい。佐鳥さんもご満悦の様子だ。

カウンターではショージさん秘蔵のライブチケットコレクションを一枚ずつ検品しながら、わたしもこれ行った〜!これ行ってない〜!の注釈が入る。


その朝は4:00起きだったそうで21:00過ぎにはもう限界〜との言葉を残しホテルに戻っていく佐鳥さん。この日大阪マラソンを走り切ったその足で来てくれたのだ。
古くからの友達に会いに。

クールな佇まいからは想像もつかないそのバイタリティー

今後も彼女の活躍から目が離せない。



最新ライブ情報

2019年6月29日(土)

渋谷7th Floor
(Smokebees 東京レコ発)
Smokebees
CAUCUS
Boys Age
Smokebirds (Smokebees+yoko satori)


本来なら大弾幕を持って応援に駆け付けたいところだが、デボネアの大阪公演とまさかの同日。泣く泣く断念するが、佐鳥葉子ファンはもとよりSmokebeesのファンの方はマスト!一夜限りのダークで親密でタイトなセットリスト、これまた歴史的な夜になりそうだ。

Chelsea Girls 広瀬 陽一
posted by blue-very at 19:15| todays music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする