初めてBankの音楽に触れたのは友達を介して。Archのメンバーが新しく始めたバンドいうことで最初から期待値が高かった。なんと言っても僕らはクルーエル世代。日本の音楽で初めてレーベルを意識して聴いたのがクルーエルだった。クリエイションにサラ、そしてチェリーレッド。当時好んで聴いていた海外のレーベルと比較してもなんら劣ることのなかった純度の高い国産ポップス。

大げさに聞こえるかもしれないが、当時の僕たちは瀧見憲司 そしてフリッパーズのふたりが提案する音楽こそが真実だと信じていた。信用できる音楽、安心して聴ける音楽。言ってしまえば「ダサくない音楽」がそこにはあった。
話をBankに戻そう。
実際のところライブを拝見するのは今回が初めてだった。冒頭からキレキレのサウンドと艶っぽいボーカルに圧倒される。タイプは異なるがブロック・パーティーにも通じるニューウェーブ感。独自のリズムと間の産物だと思うのだが、実際のところは上手く説明がつかない。さらに突き詰めればモダン・ロマンス、ブロウ・モンキーズといった名前も浮かんでくる。日本のバンドだという事前情報がなければ間違いなく洋楽の棚に置いてしまいそうだ。

キラキラしたディスコサウンド。随所に見え隠れする80sへの憧憬。ワンフレーズで世界を塗り変えてしまうサクソフォーン。安定感と躍動感を同時に生み出すカッティング。更には新鋭若手芸人さながらのしゃべりのセンス。完全にプロ集団だ。
この渾沌として猥雑な感じ。ずっと思い出せないでいたが、ようやく繋がった。

オリジナル・ラブだ。90年代初頭、大阪のクアトロで見た彼らのステージ。それはライブというよりむしろショウに近いものだった。シンプルな構成ながらゴージャスで、どこか昭和の銀幕スターにも通じる存在感。
学生の頃、京都の美松劇場に4本立てオールナイトを観に行った。『ブルーベルベット』『汚れた血』『植木等の無責任一代男』『バーディー』。一見統一感のまるでないラインナップが、何故だか見事に調和して、未体験のグルーブ感を生み出す。Bankとはまさにそんなバンドなのではないだろうか。
Chelsea Girls 広瀬 陽一
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